「疲れた選手に代わってやれない自分の実力の無さが悔しい」
そうした中でSBの内田篤人と長友佑都はフル出場したが、日本代表の中ではかなりのハードワークを強いられるポジションであり、高温多湿の会場での試合が続く状況で、試合中の交替はもちろん、試合によってはスタメンを替えることも有効だ。
しかし、ザッケローニ監督がそうしなかったのは、彼ら2人と酒井宏樹、酒井高徳の間に明確な信頼の差があったからだろう。
「プレーでチームに貢献できなかった」という酒井高徳はチームとして戦ってきた自負を前置きしながら、「90分かけて一所懸命走って、疲れた選手に代わってやれない自分の実力の無さが悔しいです」と振り返る。
「自分が出る時は主力に何かあった場合」と割り切って準備に励んできた伊野波も「僕はやれることは全てやった。(足りない部分は)出ている人が一番わかっていると思うし、出ている選手に聞いたほうがいい」と語った。
戦いが続いている時は試合に出ても出なくても、チームのためにという意識を共有していたというが、結果的に起用されなかった選手にとって納得の行く運びでなかったことは確かだ。
メンバー発表時に「候補はこの他にもたくさんいる」と言ったザッケローニ監督は、その中で絞り込んだ“精鋭たち”を十二分に活用することができなかった。結果論の部分があるとはいえ、中村憲剛や細貝萌など、最後に外れた選手たちが必要だったという声がちらほらと出るのも無理はない。