「世界のトップとの距離を体感することが出来た」
この敗戦を受けて、オーストラリアはグループ最下位で大会を去ることになった。グループリーグでの成績は「3戦全敗、勝ち点ゼロ、得失点差-6」。
この成績は、サッカー先進国であれば、非難轟々で戦犯探しが始まり、監督の首が飛んでもおかしくないというくらいの最悪の内容。それでも、オーストラリア世論はそんな結果にも、どこまでも寛容だ。
主要メディアの扱いを見ても、SBS「the World game」が載せたAAPの配信記事は、「ポスタコグルー監督、サッカルーズの明るい未来を見通す」「マタが、戦うサッカルーズを賞賛」とポジティブなものしか見当たらない。
主要テレビの当日の夜間のスポーツ・ニュースでも、この日のスペイン戦は軒並みトップの扱い。そのすべてが、「王者スペインはやはり強かった。でも、サッカルーズは良くやった」という切り口で、批判めいた論調は皆無。
しかし、世論の突き上げが無いからと言って、自ら結果を出せなかったことをうやむやにしてしまうほど、ポスタコグルー監督は自分に甘くは無い。
試合を振り返って指揮官は、「(試合を通じて)我々は規律を失い、判断力も良いとは言えなかった。いとも簡単にボールを失い過ぎた」とチームの出来には厳しい評価。
さらには、今大会に臨むにあたって自ら設定した目標がこの日の敗戦で未達となったことも明かす。
「望んだ結果を(この大会で)出すことは叶わなかった。この大会には、世界に何らかのインパクトを与えようと臨んだが、(3戦を経ても)結局、そのインパクトを与えられなかった」
一方で、この悔しい結果からも得られるものが多いとも力説。
「(今大会の経験で)得られたものがあるとすれば、世界のトップとの距離を体感することが出来たこと。我々は自らの現在地を肌身で体感することで、知った。世界のトップ20と(オーストラリアと)の間にあるギャップを埋めるのには、何を伸ばさねばならないかのはっきりとした示唆を得ることができた」