必要だった岡崎への厳しい指摘
試合後、あるいは練習後の取材で時には厳しい指摘をすることも必要だ。選手が顔をしかめたとしても、それが選手のためになるならば迷わずやるべきだ。記者との厳しいやとりが選手を育てる。それで潰されるようなら、それまでの選手だということだろう。記者のプレッシャーに負けるような選手が、W杯のプレッシャーに勝てるはずがない。
岡崎慎司はコートジボワール戦後にこんなことを言った。「勝たなくてよかったと、正直、今は思っている。あのまま勝っていても、得るものはなかった」と。真意はどうあれ勝つことが最重視されるW杯でこのような発言をしてはいけなかった。
私は直接聞いたわけではないのでやりとりは不明だが、記者は一言「岡崎選手、それは違うのではないですか?」と指摘すべきだった。得るものは間違いなくある。勝ち点3と決勝トーナメント進出への扉だ。
ある媒体には「日本代表をポジティブに見るべき」という主旨の記事が掲載された。確かに一理ある。勝利のために選手・監督・協会・サポーターが一丸となって戦うことは必須条件だ。だがそこにメディアが入ってはいけない。
臭いものには蓋とばかりにはネガティブな部分を論証せず、4年間、ひたすらザックジャパンをタレントのように持ち上げてきた結果がW杯での1分1敗だ。ポジティブに、建設的に見る一方で、メディアであるなら冷静に客観的な姿勢を忘れてはならない。
フットボールチャンネルは比較的厳しいスタンスで代表について報じてきたが、それでも十分ではなかったと思う。例えば、吉田麻也。6月7日にブログを更新し、自分が出演する番組の宣伝をしていた。戦う気持ちになっていない。しかし、特に指摘することなくやり過ごしてしまった。
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