有効だった香川→大久保の選択。バイタルエリアにスペース
また、ザッケローニ監督はこの試合で香川真司を外して大久保嘉人を先発に抜擢したが、これもギリシャ対策として意味があった。
ザッケローニ監督は大久保を入れた理由について「サイドからの攻撃を考えていたが、そのためよりスペースを広げる、特に相手のディフェンスのスペースを広げることができたと思う。
香川も相手のスペースを使うプレーが多いが、彼はより中央への動きが多いので意向が合わず、戦術的にこのような決定をした」と語ったように、サイドの選手がワイドのポジションを取ることが重要だった。
香川のように最初から中に入ってプレーしてしまうと、相手も警戒してインサイドハーフが前にプレスをかけにいくことを止め、中を固めてスペースを消す可能性がある。
サイドに張っておけば、インサイドハーフが前に出ていく可能性が上がるのと同時に、相手のサイドバックを自分のマークで釘付けにできる。
日本がそのようなポジション取りをするとどうなるかと言うと、ギリシャは上から見るとちょうど円を描くような形になり、そのなかにアンカーの1人がポツンといる形になる。アンカーの周りにはスペースが大きく広がり、バイタルエリアもポッカリと空くことが多かった。
日本はそういったスペースに大迫が落ちてきたり、本田が顔を出したり、逆サイドの大久保が中にタイミングよく入ってきたりしてボールを受け、ギリシャの守備を揺さぶった。ギリシャがボールサイドに絞ってきた場合は、逆サイドの内田を使えばよかった。
岡崎慎司と左右を入れ替えて大久保を右に置いた理由は、ギリシャの右サイドのサマラスがあまり守備に関与しないため、左でゲームを作って右で勝負という形を作りたかったからだろう。
その時はスピードがあって足元の技術が高い大久保の方が脅威を与えられる。実際、大久保の存在はギリシャを苦しめていた。