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Jリーグ 10年前

【ギリシャ戦プレビュー】いざ、ギリシャ。日本代表を取り巻く光景と支えるものに思うこと

日本代表のW杯は、第1戦を終えて早くも危機的状況にある。毎週、週替わりのテーマで議論を交わす『J論』では、「初戦敗北。ギリシャ戦に向けた日本の採るべき術策は何か?」と題して、第2戦に向けた日本代表の選択肢を探っていく。今回はJ論編集長・川端暁彦が、ギリシャ戦に向けて物申す。日本サッカーの象徴たる日本代表へ向けて、期待と信頼を込めて。

text by 川端暁彦 photo by Getty Images

スタバと小学校の風景にて

 先日、都内某所のスタバで原稿を打っていたときのことだ。斜め前の席で二人の女子高生が議論を戦わせていた。

「ホタルは機能していないじゃん。外したほうがいいよ」

「え? 長谷部のほうがヤバくない?」

 斜め前の席という微妙な距離感もあって断片的にしか聞こえてこなかったが、「初戦の結果を受けて、次のギリシャ戦をどう戦う?」という、まさにこの『J論』と同じテーマでの議論が行われていたわけだ。

 こんなこともあった。コートジボワール戦を前にした早朝のこと。実家近くの小学校のグラウンドには野球少年たちが集まっていた。これから練習なのだろう(試合かもしれない)。私がその小学校の前を通り過ぎると、こんな会話が飛び交っていた。

【ギリシャ戦プレビュー】いざ、ギリシャ。日本代表を取り巻く光景と支えるものに思うこと
W杯という“お祭り”をナチュラルに楽しむ人が増えていること【写真:Getty Images】

「大久保、出るのかな?」

「柿谷だろ?」

「あー、あと2時間で始まるなあ」

 まあ、たぶん、観たかったのだろう。サッカー少年に日本代表の試合を観る機会を! なんてムーブメントがあったけれど、野球少年では「観たい」と言うことも憚られるかもしれない。なんだか、ちょっとだけ気の毒になった。

 W杯を前にある週刊誌(専門誌ではなく一般誌である)の記者さんと話していたとき、「日本のサッカーのレベルって本当に上がったんですかね?」みたいな質問を受けた。そのシンプルな答えとして、彼にこれらの光景を見せてあげたいな。そんなことを思った。

 サッカーが日常のものとなることと、このW杯という“お祭り”をナチュラルに楽しむ人が増えていること。その二つ以上に日本サッカーのレベルを推し量る要素はないし、押し上げる要素もないように思う。コートジボワール戦の内容にも結末にも失望したけれど、ギリシャ戦の内容には期待しているし、結末についても希望を持っている。

 無理してそう思い込もうとしているわけではなく、それは自然な感情として、である。「この20年で日本サッカーが強く、そして“太く”なってきた」という、自然な実感があるからこそなのだろう。こういう光景を何となく、ごく普通のものとして、自然に受け止められるようになって、今がある。今の日本サッカーがある。

 そしてその象徴として、日本代表がいる。

関連リンク

『【ギリシャ戦プレビュー】自分たちのサッカーをするために。蘇れ、今野泰幸!』北健一郎(J論)
『【ギリシャ戦プレビュー】所詮は初戦。『メッシと滅私』の著者が訴える「この数日の過ごし方」』吉崎エイジーニョ(J論)
『【ギリシャ戦プレビュー】盾を減らさず、矛を隠せ。「スーパーサブ・ドログバ」を模倣せよ』大島和人(J論)
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