王者が3戦目を待たずして敗退決定は初
スペインでは6月18日夜12時をもって、フアン・カルロス国王陛下が放位し、フェリペ皇太子がその瞬間から、フェリペVI国王として誕生した。その同じ時間帯に、スペイン代表もW杯王者の地位を捨て、二試合プレーしたのみで今W杯の敗退決定という最悪のシナリオが現実のものになってしまった。
当然、スペインのメディアは、この国を揺るがす二つの象徴的な事件が同日に起きたことを受けて、ジ・エンド(マルカ紙)といったわかりやすい見出しから、「スペイン代表、王位を放棄」(ムンド・デポルティーボ紙、エル・ムンド紙)と時事ニュースをまじえたタイトルが飛び交った。
深夜に繰り広げられるサッカー番組では、コメンテーターが「まだ信じられない」とショックを隠さずに意気消沈し、各番組で“デル・ボスケは辞任するべきか”の緊急アンケートが行なわれた。ちなみにデル・ボスケ監督は、W杯の結果に関わらず、代表監督として継続する意向を大会前に示している。
とはいえ、前W杯チャンピオンが最初のグループリーグの第三戦を待たずして敗退という状況は、やはり異常事態だ。試合翌日のアス紙は「ファイナルは最悪だった。この日がいつかはくることはわかっていたが、ここまで情けなく、らしさが出せず、地に落ちたお別れになるとは決して想像していなかった」と厳しく非難。
選手の評価にいたっては、スタメン組の中でイニエスタに星1つをつけたのみで、残りのスタメン10人には「評価不能」の最低評価を突きつけた。
W杯チャンピオンが次のW杯のグループリーグで敗退したのは、過去にブラジル、イングランド、フランス、イタリアが経験しており、スペインはこの不名誉な歴史に名を連ねた5番目の代表になったが、グループリーグの3戦目を待たずして、2戦目で早々と敗退を決めたのはスペインが初めてだ。