「過去の監督たちが好んだ陰気で守備的なスタイルから間違いなく発展」
高級紙シドニー・モーニング・ヘラルドの電子版は、フットボール・ライターのマイケル・コッカリルの署名記事が目を惹いた。書き出しから「Another glorious defeat」とある。「(チリ戦に続いての)もう一つの栄光ある敗北」と言うことなのだが、敗戦にしては寛容過ぎやしないかと思って読み進めてみると、さすが業界の重鎮だけあって幾つかのネガティブな要素も忘れずに列挙してあった。
このコッカリルの記事の最後が非常に印象的だったので、筆者の訳で一部引用しておきたい。
「サッカルーズは、家路に就く準備をすることになるが、彼らは試合では打ち負かされたが(defeated)、決して自信を失った(deflated)わけではない。彼らは、チリやオランダを多くの人が予想した以上に苦しめた。そして、過去の監督たちが好んだような陰気で守備的なスタイルから間違いなく発展している。今のサッカルーズにない要素は、それこそ結果だけだ」
サッカルーズは良い方向に変わっている――そのイメージは、一般のファン、メディア、選手、FFAなど全ての人が立場の違いはあれど共有できていることは間違いない。
しかし、そういった好意的な評価とは対照的にポスタコグルー監督自身は決して浮かれない。試合後の会見で、以下のように試合に敗れた心境を語った。
「この大会に臨むにあたって選手やスタッフに『強豪をアッと言わせよう』と発破を掛けた。今日、彼らはそれを成し遂げかけたものの、結果を得られなかった。それはもう悲痛な思いだ。選手は良い結果を得るにふさわしいパフォーマンスを見せて頑張った。試合のほとんどの時間では、我々に勝ち目があったのに、結局それを果たせなかったことが、悔しい」
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