有効になる裏を狙うようなパス
二つ目は、相手のねらいに飛び込み、それを突き破る方法だ。
なぜ、カウンターを食らってしまうのか? それはパスを“遮断”されているからだ。コートジボワール戦では、相手が前を向いた状態で、勢いに乗りながらインターセプトされる場面が非常に目立った。
一方、コロンビアがギリシャから先制点を奪った前半5分の場面では、ディフェンスラインの裏への一発のロングパスが起点となった。ギリシャは堅守とはいえ、一方的にずるずると下がるチームではないので、このような一発で裏のスペースを狙うボールが有効に働く。
さらに、このようなボールの場合、ギリシャの選手たちも後ろへひっくり返ってボールを追いかけなければならないので、失敗しても“遮断”されてカウンターを食らうリスクは小さい。ギリシャをひっくり返すようなパスが必要だ。
コスタリカ戦で、大久保嘉人のアディショナルタイム弾をアシストした青山敏弘は、このような縦パスを得意とする選手だ。スピードのある大久保、柿谷曜一朗、そして出し手として青山の起用は、ギリシャに対して面白い選択肢だろう。
中途半端にカウンターを恐れて、足元、横方向のパス傾向が強くなると、ボールの奪われ方が“遮断”となり、カウンターを食らうリスクが大きくなる。そうならないためには、縦方向への攻撃をやり切ること。そうすれば、ギリシャのカウンターも怖くはない。
そして、もう一つ重要なのは、そのようにしてギリシャを深い位置まで押し込むことに成功したら、ボールを奪われたときに素早くハイプレスをかけて奪い返すこと。ギリシャのディフェンスがどんなに強固でも、攻撃に出ようとする瞬間、それぞれのポジションには必ず乱れが生じる。その瞬間を突いてボールを奪い返し、すぐにシュートに結びつけることができれば理想的だろう。
5月末に行われたキプロス戦では、奪われたボールを山口蛍が奪い返し、素早い縦パスから岡崎慎司、香川真司を経由して、最後はこぼれ球を内田篤人が押し込んだ。あのときのようなハイプレスを仕掛ければ、ギリシャには大きな脅威となるに違いない。
第一戦の消化不良を晴らすために、これほどわかりやすい相手もないだろう。突き抜けろ、ザックジャパン。
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