育成世代の子供達に伝えたいプログラム
幸い次の日にGMの方と面会でき、トップチームの練習見学、アカデミーの練習見学、トップチーム公式戦観戦とベトナムでの3泊4日は有意義な過ごし方をすることができた。
結果としては12月の親善試合の打診、選手の移籍提案、外務局の方を紹介して頂き、面会することまでは話を進めることができた。
日本では様々なことに追われる怒涛なような毎日だったが、海外の時間はなぜかゆったりで、アメリカでプレーしていた時にも感じていたが時間軸、物事のスピード感が全く違う。
ベトナムに来たからには必ず形にせねばとプレッシャーを感じていたが、GMの方に面会でき、ひとつの目的は達成された。今回のベトナムではいくつもありがたい偶然が重なった。
こういうときは良い時だ。逆にうまくいかない時はいくつものことが重なり、気持ちを重くする。そしてそれに負け、ネガティブな気持ちになり出したときにくだした決断はたいてよくない結果を招く。
アメリカでは予定通りいかないことが当たり前だった。想像もしないようなことが起こることもしばしば。今回のベトナムでは細心の注意を払っていたが、そんなアメリカ時代の経験が実になっているんだと感じられたベトナム視察だった。
この時期もうひとつやっていたのが、日本サッカー協会が選手のキャリア教育に使っている「よのなか科」というプログラムの受講であった。
現役時代からこの取り組みには注目していた。サッカー産業がどのように成り立っているのか? どんな職業があり、どんな役割、意志、能力が必要とされるのかなどを中学生にわかりやすく解説をする。
現役時代は目の前のサッカー、グラウンドの中の時間に没頭して過ごしてきたが、現役時代の晩年は、逆に色々な事に目を向けつつ、その違いや成り立ちを理解することで、より目の前のサッカーに集中することができた、という実感があった。
ファシリテーターの資料の準備、講義の原稿つくりは確かに大変であったが、自分の選手時代の経験、伝えたいことを整理する良いきっかけになった。何よりも自分の出身だった三菱養和の後輩達にその想いぶつけ、一緒に過ごせた時間は非常に楽しく、充実感のあるものだった。
このプログラムは是非市原でサッカーをしている育成世代の子供達に伝えたいと思う。もちろんうまくなること、試合に出ることも大事なことだが、好きなサッカーの色々な側面を教えてあげることも子供達にとっては非常に有意義なことになるだろう。
サッカーの技術レベルの向上とともに、このような取り組みが日本にサッカー文化を根付かしていくのだろうと思った。