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香川真司はなぜ試合から“消えて”しまうのか? 劣勢の中でも存在感を示す本田圭佑との違い

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ポジションが乱れたボランチ。サイドと関係を作る余裕もなく

 厳しい状況の中で、本田はパスを強く要求し、ボールを持つと縦にグイグイと持ち上がり、しばしばバイタルエリアまで進出した。そうした意欲的なプレーはテストマッチの3試合ではなかなか見られなかったが、日本が劣勢だったことでより目立って見えた。

 言い換えると本田の意識も中央と縦に向かっており、右から斜めに走る岡崎を狙ったパスはあっても、香川に振ってコンビネーションで崩していく形はかなり限られてしまった。

 1トップの大迫も最初は高い位置でキープして、全体を引き上げようとしていたが、何度もインターセプトされ、何とか受けても潰されてしまったことで、手前に引いてシンプルに1タッチで叩く形に切り替えた。そのパスの相手はほとんど本田だった。

 また、ボランチの2人も守備でヤヤ・トゥーレに引っ張られてポジションが崩れていることが多く、攻撃時間が短い中でワイドに開いてサイドと関係を作る余裕がなかった。DF陣にもプレッシャーがかかる中、GKをうまく使えれば良かったが、この日は西川周作ではなく川島永嗣だった。

 9本の枠内シュート中、7本のシュートを防いだ川島に対する守備面の信頼は高いが、こういうポゼッションが厳しい展開になると、やはりバックパスを使えないのは痛手になる。

 結果論になるが、ザンビア戦を“仮想コートジボワール”とするならば、西川でいく手もあったかもしれない。ただ、GKというのは一度核を決めると動かしにくい。ザッケローニ監督の総合的な信頼感で川島が上回ったということだろう。

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