ベンゼマがゴールした大きな意味
テストマッチ3戦で先発し、計3得点をあげたジルーを外してベンゼマを起用したデシャン監督の英断も、それが正しかったことを結果が証明してくれた。実際、同じ立場にあったらこの仕打ちはけっこう堪えるだろう。
ジルーも素直に「たしかにがっかりしている」と気持ちを吐露している。しかし「それでも、自分のちっぽけな感情をチーム全体の成果より優先するわけにはいかない」と大人な対応で、与えられた出番で全力を尽くすことを誓っている。
ホンジュラス戦では78分にバルブエナと交代したが、両サイドのどちらかがベンゼマの位置まで上がり、もう一人がトップ下に下がる、中盤ひし型の4-4-2にもスイッチ可能な4-3-3の現システムにおいては、ジルーが活躍する場もそのうちきっと訪れるはずだ。
そして、各紙がベンゼマの写真を一面に使ったように、大エースの活躍で勝利をつかむ、ということは、さらにポジティブな効果をもたらすのだということがわかる。同じ3-0でも、主砲のベンゼマが完全に不発で、代わりに偶発的なチャンスをDFが押し込んだ、というのでは印象が違う。
DFのゴールが悪いと言っているのではもちろんない。すべてのゴールは貴重で、価値がある。しかしフランス代表の場合、彼への期待感が大きすぎるあまり、ベンゼマが封じ込められてノーゴールに終われば、勝利を讃える一方で、「しかし真打ちは活躍せず」というネガティブな報道が躍り、結果、応援ムードに水をさすことになるのだ。
このホンジュラス戦は、3-0という快調なスコアに加えてベンゼマが3ゴール(正確には2得点)挙げたことで、勝利の価値が10倍くらいにふくれ上がった。
これほどネガティブな論調の一切ないレ・ブルーのマッチレビューは久しぶりに見た気がする。それくらい、ホンジュラス戦後の国内報道は、明るい期待感に満ちあふれていた。
【了】
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