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夢うつつ精神的に脆かったザックジャパン。コートジボワール戦、必然の敗北。本田だけが見ていた現実

text by 植田路生 photo by Getty Images

自分たちばかり見ていたザックジャパン

 ザックジャパンの選手たちはチームとしていい状態にあるようだった。ブラジル入りしてからも前向きなコメントが並ぶ。「チーム一丸となっている」「代表は本当にいいチーム。すごくまとまっている」「自分たちのサッカーをしたい」、などなど。声質は常に明るかった。

 自分たちには向き合っていた。だが、そこに相手は存在していないようだった。ザックジャパンのいつものサッカーができなかった。ただそれは相手があってのことで仕方がない。やってみなければわからないことがある。

 実際にピッチに立って、相手がどう出てくるのか、そこに対応する必要がある。ところが、選手たち(監督も)は戸惑うばかりで、バラバラになってしまった。攻撃陣はいつものように攻撃したい。その一方で守備陣は強力なコートジボワールの攻撃に対峙しなくてはならない。

 チームとしてどう戦うべきなのか、見えにくくなったのはそこにある。そして自分たちを見失った。失点された焦りから、大味なパスが目立つ。得意でないハイボールを蹴り込み、上背で上回るコートジボワールが難なく跳ね返した。

 精神的に弱いと言わざるを得ない。まるで自己分析ばかりしている就職活動中の学生のようだ。面接官の鋭い質問に、本意でないことを口走ってしまう。

 自分たちのサッカーとは何だろうか? 攻撃的なこと、それは分かる。守備が不安定なのだからそうするしかない。だがそれは、型にはまった攻撃をすることではない。パターン化された攻撃は読みやすい。最後で止められたのはそこにある。上手くいかない焦りは無駄な動きを生む。自慢の攻撃陣は空転した。

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