フィジカル面では大きな差が
とはいえ根本的な原因は、デル・ボスケ代表監督が昨年のコンフェデレーション杯決勝時に既に見えていた欠点、スペイン代表の若返りに失敗した、というのが大半の見方だ。
ファン・ハール監督が招集したオランダ代表の選手リストが、多くの経験の少ない若い選手で構成され、公表当時、批判されたのと対照的に、実際に蓋をあけたらスペインはオランダ代表の前にフィジカル面で大きく差をつけられ、試合前に予想されていた戦術争いとはほど遠い試合展開となった。
スペインが決めた得点は、判定に疑問が残ることになったジエゴ・コスタに与えられたPKをアロンソが決めた1点のみ。デル・ボスケ監督は、注目されていたコスタを予想どおりスタメンで起用し、シルバ、イニエスタを攻撃の起点に据えたが、前半は機能していた連携プレーも、試合が進むにつれて姿を消していった。
後半、トーレス、ペドロ、セスクを投入して試した反撃も全く功をなさず、スペインは王者の面影を残さずに、最初の試合を落とすことになった。
今回の試合については、マルカ紙がイニエスタに二つ星をつけたものの、残りのスペイン代表選手には一つ星、セルヒオ・ラモス、ジェラルド・ピケ、イケル・カシージャスのセンターバックとGKに至っては何もつけていない。
つまり採点不可能、完全に「落第」という結果に終わり、スペインメディアの大半が同じ流れで評価している。守備、攻撃ともに課題点を1試合目で露呈してしまったスペイン代表が、王者の意地を見せて名誉挽回なるか大きな疑問が残るところだ。
5失点して現在、グループ内最下位のスペインが次に対戦するのは、デル・ボスケ監督が最も恐れていたチリ代表だ。
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