「首位通過に決まっている」。現実が見えていなかった現地メディア
これだからW杯は怖い。大会優勝候補と言われていたFIFAランキング1位のスペイン代表が、初戦でオランダを前に1-5と大敗を喫した。かつてない点差をつけられての打撃に、スペイン代表に大きな警笛が鳴らされ、その前途には一気に暗雲が立ちこめた。
スペイン対オランダという前回W杯の決勝が、Bグループの第一戦から行われるのだから、試合への期待は当然大きかった。オランダがスペインにリベンジなるか、などと現地の新聞は試合前に歌ってはいたものの、内容は楽観主義そのもの。
なんといっても、スペインはユーロ二連覇、前回W杯も優勝している優勝候補なのだ。グループリーグを通過するのは当然、それどころか、首位通過に決まっている、という過信に限りなく近い楽観主義が、地元のメディアには蔓延していた。
スペイン代表の現実を見つめずに報道していたメディアは、この試合の結果を受けて、今になって一斉に批判の矢を放ち始めた。「チャンピオンの最高の悪夢」「カシージャスに落第点」「世界的屈辱」など、辛辣なタイトルが並び、試合後のサッカー討論番組では、「カシージャスをベンチに座らせるべきか」の緊急アンケートが行われた。
最近、2年間、クラブチームでコンスタントにプレーしていないカシージャスのチャンピオンズリーグ決勝でのプレーは、不安を募らせるに十分だったが、今回のW杯ではそれが検証される形となった。
また、センターバックのセルヒオ・ラモスとジェラルド・ピケの連携も最後まで悪く、ディフェンスの脆さも改めて露呈した。デル・ボスケ監督は試合後に「今は誰のせいなどと探す時期ではないし、一人の選手のせいなどということはない。カシージャス(のせいにする)などもってのほかだ」と庇ったが、カシージャス本人が、自分達に責任があり、まず、最初に謝罪するのは自分だ、と認めた。