初出場から16年が経過。しかし焦点は同じグループ突破
日本代表は進化しているか。この問いに対して、NOと答える人はほとんどいないのではないか。
ただ、日本の進化は対戦国との相対性の中で評価しなければ意味がない。日本は進化しているが、「世界」も進化しているのだから。
初出場の98年、日本代表選手は全員国内のクラブでプレーしていた。大会後には中田英寿や名波浩がセリエAへ行くことになるが、極めてローカル色の強いチームとしてフランス大会に臨んでいたわけだ。
16年後の今年、ブラジルの地を踏む23人の半数以上はヨーロッパのクラブに所属している選手で占められるだろう。中にはミラン、マンチェスター・ユナイテッド、インテルといったビッグクラブ所属もいる。
日本は選手輸出国へ変貌を遂げたわけだが、98年に対戦したアルゼンチン、クロアチアはすでにそういうチームだったし、ジャマイカにもプレミアリーグでプレーする選手などがいた。
16年間で日本は大きく進化したが、選手の市場価値という点では16年前のアルゼンチンやクロアチアにようやく肩を並べただけなのだ。欧州組の増加は日本選手への評価が上昇した証ではあるけれども、対戦相手もそこは同じである。コートジボワール、ギリシャ、コロンビアより上回ったわけではない。
アジア予選の容易さも日本の実力を錯覚させてきた。アジアに特有の難しさがあるのは確かだが、W杯に出場するチームとの実力差はかなり大きい。さすがにこれだけ欧州組が多くなると、選手の間に勘違いは起こらないが、メディアやファンはアジアとW杯で別々のモノサシで計り直さなければならないので、過大評価と過小評価の両方でけっこうな誤差が出たりもする。
98年から16年経過しても日本はW杯グループステージを突破できるかどうかが焦点になっている。大幅に進化しているはずなのに、相変わらずベスト16が目標というのは矛盾していないだろうか。日本代表の相対的な実力は本当に上がっているのだろうか。