ボール保持=フットボールの本質
――ですが後方で引いて守る相手に対して、苦戦する傾向はさらに強まっています。
「だからこそ明確なコンセプトの下で、バリエーションを増やさなくてはならない。攻撃を仕掛けるスペースを持ち得ないこと、攻めに出るために後方のスペースを空けてしまうことは理解している。
しかしながら、それが私たちのプレースタイルであり、突然に変えることは許されない。これまで実践してきたことを繰り返すだけでもうまくはいかず、新たに加わった選手たちをチームの恩恵とすることが重要となる。
いずれにしても、スペインが主導権を握ることを放棄してはならないんだ。それと同時に、私たちが最高のチームであり、世界のスタンダードと考えることも許されない」
――あなたがそのように話すことは予想していました。しかしながら、今季のCL準決勝では、レアル・マドリーがペップ・グアルディオラのバイエルン・ミュンヘンを圧倒しました。擁している選手が違うとはいえ、“ティキ・タカ”の有効性は失われ始めたのではないでしょうか?
「そのような論争に首を突っ込む気はないよ。時間を浪費するだけで、結論は出ないだろうからね。私の願望は、試合の主役を演じることにほかならない。選手たちの個性に依存することではあるが、どのようなチームもボールを保持し、ポゼッション率を高めることを理想としているはずだ。それがフットボールの本質なのだからね。
ピッチ上において、身につけるもの以外で必要な道具はボールだけであり、それを扱うことこそフットボールの基本となる。それに加えて必要となるのが、ボールにスピードを与えること、奥行きのあるプレーを見せることだ。
ボールを保持するだけでは意味がないことは分かっているし、それだけであれば酷い状況に陥るだろう。だからこそ私たちは、高めたポゼッション率を補完する材料を必要としているんだ。その材料はこれまで手にしてきたし、現在も継続して探し求めている」