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すべては国の未来のために――。スター揃いのコートジボワール代表。アフリカ特有の内紛が起こらない理由

日本とW杯初戦で対戦するコートジボワール。かつては内戦で苦しみ、代表にもさまざまな地域の選手がいる。内紛が起こりそうな要素があるが、このチームに限ってはそうはならない。コートジボワールが一丸となって戦う理由とは?

text by 清水英斗 photo by Getty Images

元キャプテンの反発。監督は厳然たる態度で対応

 4年に一度のW杯が近づくと、まるでそれが風物詩であるかのように舞い込むニュースがある。それは、代表チームの内紛だ。

 なぜ、内紛が起きるのか? その要因はさまざまだが、特に厄介なのは監督やスター選手の確執だろう。一言で表すなら、人間関係だ。

 正直に言えば、これは多かれ少なかれ、どの代表チームにも必ず存在する問題だ。やはり人間である以上、嫌いなタイプの人間を好きになることはできないし、それはプライドの高いワールドクラスの選手ほど顕著に表れる。

 日本代表がW杯の初戦で顔を合わせるコートジボワール代表も、決して例外ではない。

すべては国の未来のために――。スター揃いのコートジボワール代表。アフリカ特有の内紛が起こらない理由
ディディエ・ゾコラ【写真:Getty Images】

 2013年、エースのディディエ・ドログバが代表を離脱した半年間、キャプテンを務めてアフリカ予選を戦ったのは、センターバックのディディエ・ゾコラだった。しかし、その後、ドログバが代表に復帰すると同時に、キャプテンマークを剥奪されたことに不満を露わに。さらに、その決定を下したサブリ・ラムーシ監督への反抗心も抱いていた。

 そして無断でチームの宿泊ホテルを抜け出すという行為に及んだゾコラに対し、ラムーシ監督は副キャプテンを剥奪し、罰金を課すなど、厳然たる態度を取った。人間である以上、このような争いの火種が存在しないチームなど世界中のどこを探してもないのだ。

 とはいえ、それが決定的な問題として本番で表面化するか否かは、また別の話だ。

 10日に行われたコートジボワールの記者会見には、ラムーシ監督、コロ・トゥーレと共にゾコラも出席した。その会見の冒頭、ラムーシ監督は、この場に同席させた両選手について、「コートジボワールを代表する2人の選手だ」と紹介し、火種はきちんと消火されていることをほのめかした。

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