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福西崇史が回想する06年W杯「ヒデとの口論はただの意見交換。マスコミが喧嘩って書いただけ」

text by 原田大輔 photo by Getty Images , Kenzaburo Matsuoka

「チームがバラバラになった。少なくとも僕はそう感じた」

福西崇史が回想する06年W杯「ヒデとの口論はただの意見交換。マスコミが喧嘩って書いただけ」
福西は「強い相手に対してチームとして一つになってぶち当たった」と語る【写真:Getty Images】

――ドイツ戦が大会直前だったら……。

「逆だったら本大会で勢いに乗れた部分もあったかもしれない。そもそも、マルタ戦は、ドイツ戦に出たメンバーは疲れているのもあって、サブだった選手たちが出るという話しになっていた。でも、当日になってサブの人たちが出ないということになった。当然、控え組のモチベーションは下がりますよね。

 控え組のモチベーションが下がるということは、チームとしてはかなり痛い。それは2002年の時に自分自身も経験していたから分かるんです。だからこそ2002年の時は中山(雅史)さんや秋田(豊)さんが、控え組がモチベーションを上げないと、先発組は危機感を持たないということを訴えていた。控え組の選手たちが、『どうせ試合に出ないし』という雰囲気になってしまってはチームとしては、ダメなんです」

――チームとしてぎくしゃく感が残ったまま、W杯初戦のオーストラリア戦を迎えたところもあるのですか?

「全く不安がなかったわけではありませんが、試合に出ているメンバーの力を考えれば、決してネガティブではなかったですね。このメンバーならば、やれるという思いはみんな持っていた。あとは戦い方の問題。幸運にも先制点を奪えたから、守りつつも、それだけではダメなので2点目を取りに行こうということで、ハーフタイムには話し合った。

 そうしたら後半、相手が最初から飛ばしてきて、守備一辺倒になってしまう時間帯が続いた。そのあたりからですかね……前は点を取りに行きたい。後ろは守り切りたいというので、チームがバラバラになった。少なくとも僕はそう感じた。

 ドイツ戦では強い相手に対してチームとして一つになってぶち当たった。試合の中でも状況に応じてチームとして戦い方を変えることができていたのが、オーストラリア戦ではできなかった。すべては後半……後半だと思います」

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