“死の組”に入ったことも後押し。批判されることなく世代交代が可能
昨年12月の組合せ抽選会で、豪州がいわゆる“死の組”に入ったことも、結果的にポスタコグルーの世代交代の実現への強い意志を後押しした。組合せ抽選以来の豪州国内の世論は、「いかにW杯でグッド・ルーザーたるか」に集約されている。
そういう状況下で、ポスタコグルーは結果を追いつつ、世代交代の針を思い切り進めることに躊躇はなかった。達成が難しいであろうW杯での成果を追うよりも、W杯という大舞台をもサッカルーズの未来の肥しにしようという考えだ。
W杯で仮に(大会直前にこんな仮定は良くないが)結果が付いてこなかったとしても、果敢に世代交代を果たして大会に臨むポスタゴグルーが大会後に批難の矢面に立たされることはない。
既にFFA(豪州サッカー連盟)は、W杯の成績いかんに関わらず、大会後のポスタコグルー続投を表明しており、いかなる成績でも責任問題には発展しない。いわばフリーハンドの状況下、信念の人、ポスタコグルーは改革を加速度的に進めていった。
5月14日に発表された代表候補30名の選考に至る過程でも、マーク・シュワルツァーの代表引退表明に始まり、悲喜交々のドラマが当地のフットボール・メディアを賑わせた。
豪州サッカー界の最大のアイコン、ハリー・キューウェルは、ポスタコグルー体制下では代表選出の目がないことを悟ったのを機に、今年3月に潔くスパイクを脱いだ。
さらには、代表入りを狙ってクラブレスの状態を抜け出さんと、それこそ必死になってクラブ探しを続けていたルーカス・ニールも、長きに渡ってサッカルーズの主将を務めてきた功績を考慮しての異例の事前告知で代表候補不選出を知らされて、事実上の代表引退勧告を受けた。
また、Aリーグ復帰後に好パフォーマンスを見せたベテランDFサシャ・オグネノブスキは、有力候補に故障が相次いだこともあって、代表復帰に色気を見せていたが、ポスタコグルーは見向きもしなかった。