4年間で着実に広がった攻撃のビジョン
「左で細かいパスで崩せれば理想的ですけど、詰まった時に岡ちゃん(岡崎)であったり、右サイドの攻め上がりをどうもっと効率の良い、質の高いものにしていけるか。そこは合宿で精度も高めていきたい」
「そう簡単に僕たちのサイドで崩せるほど甘くないと思っている」と香川。長友がグイグイと攻撃を引っ張る姿は頼もしいが、そこに偏るとワンパターンに陥ってしまう。そこで香川がサイドを変えるパスやポジショニングを取り、右ウィングの岡崎はもちろん、さらに内田や酒井宏の攻め上がりを促せれば、日本の攻撃は幅が広がる。
香川というと決定的なラストパスあるいはフィニッシュのイメージが強いが、この4年間で着実に攻撃ビジョンは広がり、仲間と共有するイメージの引き出しが増えていることは、そうした発言からも分かる。あとはそれを練習から効果的に高め、試合で発揮させられるかがキーポイントになる。
「本当にこの4年間で積み上げてきたものは僕たちがW杯で出すためにやってきたことだし、一番はコントロールというか、W杯という短期決戦でどこまで平常心で、チームとしてまとまって、勝つためにどうするかを考えられるか。その意味でも初戦は本当に大事になってくる」
この4年間でも調子の動き沈みや試合感の変動はあったが、心身の両面で着実に成長している。それをW杯の舞台でしっかり出すことができれば、日本を躍進に導く存在になることができるだろう。
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