収穫と言える長谷部とのコンビネーション
香川が出したパスに大久保が飛び出す、あるいは大久保がタメを作り、香川が追い越して受けるといった連動性のある仕掛けは、キプロス戦の30分間だけでも豊富なバリエーションを見せた。タイミングなどに課題はあるものの両者の攻撃イメージは似ており、彼らが融合することで相乗効果を発揮するのは明らかだ。
日本代表の大きな武器である左サイドでは、さらに自信を高めた長友佑都との縦のコンビに期待がかかる。「1つひとつ見てもすごく自信を感じますし、それは代表にとってプラスになるはずだし、左サイドの仕掛けは本当に武器となっています」と語る香川にとって長友は心強い存在だ。
だからこそ、これまでのように左サイドをコンビで崩すだけではなく、長友が単独で突破できると判断すれば、ゴール前のニアサイドに走り込む動きも求められる。
「彼がボールを持った時、クロスが入りそうな雰囲気になった時、いかに僕たちが走り込んでいけるかが大事。キプロス戦はタイミングが合わなかったので、入り方はこの合宿でやらなければいけない」
一方で興味深かったのは、左で長友と共に攻撃の三角形を形成する左ボランチの遠藤が前半で退き、長谷部が入ってきてから。慣れない組み合わせとは思えないほど、テンポ良くシンプルにつなぐ長谷部から柔軟にボールを引き出し、崩しの形に結び付けることができたのは確かな収穫だ。
左サイドに関しては合宿で練習を重ねていけば、香川と長友の縦ラインがある限り、左ボランチが長谷部になっても、あるいは青山が入ってきても高い機能性を発揮できるだろう。
とはいえ、チャンスの起点が左に偏る分、相手の対応次第では攻撃が停滞する危険がある。その点は香川も自覚している。
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