「選手に対してベストをつくすのが我々の役割」。スポットの当たらない、もう一つの日本代表
また、チーム西村に名木氏が加わり、日本人のトリオになった事も審判団としてのレベルを上げた。ロンドン五輪では、決勝戦担当審判団候補にも挙がっていたという噂もある。
ブラジルW杯に選出された審判団のなかでも、チーム西村は “チャレンジャー”ではなく、“経験のあるFIFAレフェリー”として計算されているだろう。
「ブラジルW杯の中でいえば、私はベテランの方の部類のレフェリーになりますので、FIFAにもベテランに期待するものがあると思います。
『誰がやっても収まりつかないゲームをやってくれよ』という形になると思うので、そこは2大会経験しているレフェリーたちが、今回の2014年の大会の成功のために頑張らないといけない」(西村氏・2014ブラジルW杯ブリーフィングより)
チーム西村に割り当てられるのは、グループリーグのなかでも難しい試合になる可能性が高い。そこで「試合に影響のあるミス」をしなければ、その先にあるのは“経験のあるFIFAレフェリー”として世界中が注目する決勝トーナメントのビッグマッチへの割り当てだ。
もちろん、ロンドン五輪のように日本代表が勝ち進めば、ビッグマッチの割り当てはなくなってしまうし、チーム西村も「僕たちがどうこうよりも、日本代表に勝ち上がってほしい」と力説する。
「審判団が主役になろうとしたり、自分の欲を満たすためにレフェリングしようとすれば、ゲームは違う方向に進んでしまいます。選手のために走って、ひとつひとつ正しい判定を積み上げて、選手に対してベストをつくすのが我々の役割です」
ブラジルW杯には、スポットライトの当たらない、もう一つの日本代表の戦いもある。
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