「後半からの出場でも全然問題ない人」
――ベルギー戦も後半から遠藤投入でした。
「後半勝負というわけでもなかったのですが、ヤットさんが入ってゲームがスムーズに動く感じはありましたね」
――これはW杯用の使い方なんでしょうか。
「僕には何とも言えません。前半も問題なかったと思いますし。ただ、ヤットさんは与えられた仕事をするということにおいては、後半からの出場でも全然問題ない人です。どんなポジションでも仲間がやりやすいようにプレーしてくれます」
日本代表の後方からのビルドアップには、いくつかのパターンがある。
「他の監督に比べると、パターンは多いと思います。反復練習もします。試合の前々日ぐらいですかね、相手がこうだから、こういうふうにという具体的なトレーニングをやりますね」(今野)
センターバックの今野は、ドリブルで持ち上がるように要求されている。
「僕が持ったときに、長友が走る。同時に、僕が相手のサイドハーフに向かうようにドリブルします。そうすると、サイドハーフは長友か僕かで迷います」(今野)
さらに、香川が中央へ移動する。すると今度は相手のサイドバックが長友をケアするか、香川について行くか判断しなければならない。
「香川と長友で2対1を作れるし、香川が空けばそこへパスして前向きに仕掛けられる。ただ、僕が食われるとピンチになるわけです。リスクはあるのですが、監督はセンターバックとボランチにそういうプレーを求めています」(今野)
とくに遠藤から香川、本田への縦パスは、代表の攻撃における起動スイッチといっていいだろう。
ザッケローニ監督のアイデアもさることながら、日本のビルドアップが安定しているのは遠藤のパス能力によるところが大きい。どちらの足へ、どういう質のボールを入れるか。さらにその後の展開はどうなるか、相手はどう動くか……状況を見抜く力がビルドアップのアイデアを支えている。