ブラジル行き。時差との戦い
年に一度の割合でブラジルを訪れていると言うと、
――24時間も飛行機に乗るなんて大変ですよね。
としばしば同情される。
正確には飛行機に乗っている時間だけで約24時間――日本から地球の裏側、ブラジルへ向かうには必ず一度飛行機を乗り換えなければならない。乗り換え時間を含めれば、もっとになる。
不思議なもので、何度もブラジルに行き、身体が慣れてしまったのか、長時間飛行機に乗ることはそれほど苦にならない。
アメリカ、カナダ、あるいは中東、欧州――経由地の選択も、ぼくにとってはちょっとした楽しみである。今回の取材旅行では、ルフトハンザドイツ航空に乗り、ドイツのフランクフルトを経由することにした。ルフトハンザは時間に正確で、機体も綺麗なので、ぼくの好みのルートの一つとなっている。
ぼくはスターアライアンスの「世界一周チケット」を使うことが多い。これは太平洋と大西洋を一度ずつ越えること、同じ都市を二度通らないという条件で、一定の距離までは何度飛行機を降りても同運賃のチケットだ。
アメリカ経由でブラジルに向かい、帰りは欧州経由で帰国する。あるいはその逆のときもある。地球の裏側のブラジルへ行くには実に使い勝手のいいチケットである。
アメリカや欧州で飛行機を降りることは、いくつか利点がある。
まず時差ぼけの緩和だ。日本とブラジルの時差は12時間。ぼくの経験では行きは比較的すんなりとブラジルの時間に馴染める。問題は帰ってからである。
昼夜が完全に逆転するため、戻ってから一週間程度は頭がぼんやりとしてしまう。ぼくはこれまで何度か洋服の中に携帯電話を入れて、そのまま洗濯したことがある。その全ては、ブラジルから帰国して、頭がぼんやりしているときだった。
アメリカ、あるいは欧州で飛行機を降りて、数日間を過ごせば、かなり身体は楽になる。時間に余裕があるときは、こうした旅程をお薦めする。