大久保への優位性を示せなかった柿谷
大久保はこれまで一度しか代表に招集されておらず、他国からもノーマークだ(これからスカウティングしてくるだろうが)。こういった選手を突如呼ぶ場合、ジョーカーとしてとっておきの場面で起用することも考えられる。
だが、キプロス戦で使ったことで、この線は消えた。ザッケローニ監督が、ポジション争いをさせる意図があることは明白だ。
そしてこの試合、柿谷と大久保はお互いにノーゴールだったが、よりインパクトが大きかったのは大久保だ。積極的にゴールに向かう姿勢はチームに大きな刺激を与えた。
また、連携面で多少の不安はあったが、まったく噛み合わず、というわけでもなく、むしろ可能性すら感じさせた。短い合宿で合わせてきたことは評価すべき点だ。そもそも大久保はJリーグで柿谷と大迫よりも結果を出してきた選手だ。実力には何ら問題はない。
一方の柿谷はJリーグでの不調がそのまま出たような不完全燃焼。「あとは連携面の向上が」と言われてきたが、解消されずここまできてしまった。大久保より長くザックジャパンにいる優位性を示すことはできなかった。
もちろん1試合だけですべてが決まるわけではない。本大会までの2試合で、大迫も含めたサバイバルレースが始まったと考えるのが妥当だろう。
W杯は何より結果が求められる戦いだ。1点が明暗を分ける。コスタリカ戦、ザンビア戦で結果を出したFWがスタメンの座を掴むだろう。ブラジルのピッチに大久保が立っていたとしても何ら不思議ではない。
【了】