両指揮官が失敗を犯した先発の選択
カルロ・アンチェロッティ、ディエゴ・シメオネは今回の決戦で、ともにリスクのある決断を下している。
アンチェロッティは長期離脱から復帰後わずか120分間しか出場していなかったサミ・ケディラを先発として起用したものの、この選択は当たりとはならず。
ドイツ代表MFはまだ試合勘が欠け、なおかつアンカーでのプレーはその特性から見て理想的ではない。ボールはケディラの位置するゾーンを何度も経由したが、彼がチームのプレーに関与することは皆無に等しかった。
対してシメオネは、1週間前に右足大腿二頭筋に肉離れを負ったジエゴ・コスタを起用するリスクを負ったものの、9分に同選手をアドリアン・ロペスと代えることを強いられ、その賭けが裏目に出た格好だ。
延長戦もある決勝では不必要なリスクであり、その恐れは現実のものとなってしまった。交代枠を無駄に一つ失うことは、対戦相手に優位性を与えるのと同義であり、フィジカル的に消耗している時間帯にもう一選手投入できることが理想的だったはずだ。
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