実は守備では機能していた3-4-3
[3-4-3]の守備に関しては変更の直後に不運な失点はあったが、戦術的に崩されたケースはなく、攻撃ほど不安要素は目立っていない。左右のサイドハーフを臨機応変に上下動させ、サイド攻撃に対しては逆サイドのハーフが下がることで一時的に4バックを作り、3バックの構造上の欠点を埋めている。
逆に言えば相手の攻撃に応じて常に変形するため、サイドハーフはかなりの運動量を使う。そのことを内田に質問すると「それしっかり書いてください(笑)」と返されたが、ハードワークに加えてかなり柔軟な判断が求められるのだ。
守備のバランスも考えた場合、例えば左サイドを起点とした時に右サイドのハーフは攻撃に出ていくのは禁じ手となる。それだけにボランチ(このシステムで言えばセントラルMFという表現が正しい)の攻撃参加がカギになる。それに関しては長谷部も「自分たちが飛び出していかないといけない」と認めるが、なかなかうまく機能していないのが現状だ。
サイドで数的優位になるということは、中央が数的不利になりやすいことでもある。それだけにボランチはなるべくシンプルなパスで周りに展開し、中央でバランスをとることが重要になる。ただ、逆サイドのハーフが中寄りに絞り、CBが上がり目にポジションを取ることで、一時的にボランチの1人を前に押し出すことは可能だ。
これまでは[3-4-3]をしっかり教え込む時間がなく、途切れ途切れになってしまった実情がある。本番までの貴重な3試合でテストするのは1つのリスクだが、選手が基本的な動き方をしっかりマスターした上で応用までいければ、試合の途中から、相手によってはスタートから十分に実戦で使えるシステムだろう。
【了】
関連リンク
Fチャンワールドカップ2014ブラジル大会特設ページ
遠藤保仁、W杯を語る。日本サッカーが手にした知性
僕らがサッカーボーイズだった頃2 ブラジルワールドカップ編
サッカー好きほど知らない戦術の常識