“ハイソ”なマドリーと“労働者階級”のアトレティコ。対照的なライバルによる決戦
決戦の時は目の前だ。チャンピオンズリーグ史上初めて、スペインの首都でプレーする2チームがぶつかり合う。
レアル・マドリー対アトレティコ・マドリー。歴史的に常にライバルだったこの2チームは、マドリーがお国の御用達チームと呼ばれ、政府からの寵愛を受けるなどハイソなファンを抱える一方で、アトレティコは労働者階級に支えられて来た過去があるなど、全く異なったカラーを持っている。
現会長のフロレンティーノ・ペレスが2000年以降に会長をつとめ、マドリーの大改革を行なってからは、両者の差は明らかだった。
マドリーが銀河系などと呼ばれ一つの時代を築く一方で、アトレティコは2部降格の辛酸をなめ、02年に1部に返り咲くも、順位表の真ん中から欧州枠までを行ったり来たりする、スペインリーグに「よくあるチームの一つ」に過ぎない時代が続いていたのだ。
そのアトレティコ・マドリーが劇的に変化したのは、2010年以降だ。UEFA杯(現ヨーロッパリーグ)、欧州スーパー杯を制覇し、ヨーロッパでもその頭角を表し始めた。
2011年12月にディエゴ・チョロ・シメオネがベンチに座ってから、その勢いは止まらなくなった。最初はヨーロッパリーグ、それから国王杯、そして最終節でバルサを前にドローで耐えて、手にした18年ぶりのリーグ優勝と一歩一歩、着実に歩みを進めて来た。
そして、とうとう初のチャンピオンズリーグ決勝までこぎ着けたのだ。それも、ベスト8でFCバルセロナを、準決勝でチェルシーを破って手に入れた堂々の決勝進出だ。もはや、アトレティコをスペインの(名前だけの)第三のクラブなどと揶揄する声は消えた。名実ともにアトレティコは、スペインを代表するチームとして返り咲いたのだ。