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FIFAもようやく重い腰を上げ…。カタール、W杯買収劇の裏側。誰に、いくらで票を買ったのか?

text by 田村修一 photo by Getty Images

簡単には変更できないW杯の冬季開催

 そしてもうひとつ、例え理事会の趨勢が変更に傾いたとしても、実際にそれを行うのはそう簡単ではない。

 カールハインツ・ルンメニゲが会長を務めるヨーロッパ・クラブ・アソシエーションは、カタール大会の冬季開催に賛成しているばかりか、プラティニが主張するヨーロッパシーズンの春秋制への移行にも理解を示している。

 また全世界6万人の選手により構成されFIFPro(国際プロサッカー選手連盟)も、選手の健康上の理由からUEFA同様に冬の開催を求めている。しかしEPFL(ヨーロッパ・プロリーグ連盟)のフレデリック・ティリ会長は、移行した場合の日程調整の難しさを訴える。

 3つの可能性――本大会30日と準備のための10日間を仮に(1)21年11月15日~12月26日にする。(2)22年1月3日~2月13日にする。(3)22年11月14日~12月25日にする――が考えられるが、そのどれを選んでも何かとバッティングしてしまうからである。

(1)と(3)は各国リーグが4~5試合、チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの2試合が重なる。特にプレミアリーグは、どの場合でもボクシングデーと重なるため強硬に反対している。

 また(1)では、クラブは選手を年に一度だけ国際大会のため代表に提供すればよいというFIFA規則に抵触し、W杯に出場した選手は同じ年に開催されるアフリカ・ネーションズカップ(以下CAN)とCONCACAFゴールドカップに出場できなくなる可能性がある。

(3)では逆に、年末のW杯と翌年はじめのCAN、アジアカップとの間に十分なインターバルがなく、選手は強行日程を強いられる。

(2)の場合は冬季五輪との日程調整という大問題があるうえに、前年のコンフェデレーションズカップがCANと重なる。

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