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FIFAもようやく重い腰を上げ…。カタール、W杯買収劇の裏側。誰に、いくらで票を買ったのか?

text by 田村修一 photo by Getty Images

方向転換したFIFA会長

 ドイツ協会会長のウォルフガング・ニールスバッハも認めるこの約束が事実であるならば、最近の二人の対立も、あ・うんの呼吸で演じていたのだろうか。そしてブラッターが、プラティニが強く主張するカタール大会の冬季開催を容認する発言をし始めたのも、既定の路線だったのだろうか……。そうであるならば、マキャベリストの面目躍如である。

「(冬季開催について)FIFA理事会でも議論をはじめたい」と初めて彼が語ったのは、7月のことだった。それまでは、「夏開催には疑問もあるが、開催国からまず働きかけるべき」であると、FIFAの規定順守と他の立候補国への配慮を保っていたのに比べ、180度の方向転換である。

 とはいえ昨年12月6日のW杯抽選会でも、彼は「22年大会はカタールで開催する」と述べるに留めた。そして「ブラジル大会前には、重要な決定は一切行わない」と付け加えた。ある理事会メンバーは、その理由をこう説明した。

「FIFAが法的・経済的な危機に陥るリスクのある決定をするのを極力避け、今の体制を守ることが彼の最大の関心事であるからだ」

 たしかに冬季開催が理事会の議題にあがれば、カタールに敗れたアメリカやオーストラリアが黙っていない。とりわけ立候補のために3300万ユーロ(約46億2000万円)をかけたオーストラリアは、日程が変更になった場合には、FIFAに対し賠償金を請求するだろう。

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