代表強化につながった若き才能の海外移籍
翻ってコロンビアの場合、01年大会に向けて90年代後半から環境整備と強化に取り組んだ。そしてこの大会で見事に優勝したため、さらなるレベルアップを目指すべく育成に力を入れるようになった。元々、身体能力の高い選手が多かったこともあってこの試みは成功し、育成年代では確かな実績を残せるようになったのだ。
国際大会で注目を集めた有望株たちは、どのようなキャリアを歩むのか。所属クラブのトップチームでプレーする期間はほんのわずかで、すぐに国外の有力クラブに引き抜かれるのが一般的だ。
現代表の絶対的エースであるラダメル・ファルカオ・ガルシアは、ランセロス・ボジャカという2部のクラブからわずか13歳199日でトップデビューを飾って2シーズンを過ごした後、15歳でリーベル・プレートに引き抜かれ、ユースチームでさらなる経験を積んでトップチームに引き上げられた。
10番を背負うハメス・ロドリゲスはエンビガードという中堅クラブで14歳の時にトップデビューし、やはり2シーズンを過ごした後にアルゼンチンに渡ってバンフィエルドと契約を結んだ。
クリスティアン・サパタやフアン・ギジェルモ・クアドラード、ルイス・ムリエルは20歳前後でウディネーゼに渡り、イタリアサッカーをその身に染み込ませて才能を大きく伸ばした。他にもカルロス・キンテーロやフアン・キンテーロなど、若くして国外移籍を果たした例は枚挙にいとまがない。
トップリーグのレベルの低さ、彼らを放出することによって得られる移籍金目当てなど、どちらかというとネガティブな理由かもしれないが、それが代表チームのレベルアップに繋がったのは紛れもない事実だ。
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