国にまとわりつく犯罪大国のイメージ
W杯のグループステージで日本と対戦することになったコロンビア。現在のコロンビアは有力選手が多く、日本にとっては最大の難敵となる可能性が高い。では「コロンビア」と聞いて、みなさんはどんなことを思い浮かべるだろうか。美しい自然やおいしいコーヒー、陽気な人々、コロンビア美女、そしてもちろんサッカーを連想する人もいるだろう。
一方で、殺人など凶悪犯罪の多さ、麻薬の横行、ゲリラ組織と政府の対立、マフィアが支配する世界といったマイナスの要素が頭に浮かび、「危険な国」というイメージが先行するのではないだろうか。
確かに犯罪の発生率は高い。人口が約4700万人と日本の3分の1程度であるにもかかわらず、2012年の殺人事件発生件数は日本の1030件に対し、約12倍にあたる1万2064件。麻薬組織同士の抗争による被害者数も多分に含まれているとは言え、かなり多い数字だ。
誘拐や強盗などの発生率も日本とは比べ物にならないほど高く、南米はもちろん、世界的に見ても非常に危険度の高い国と言われてきた。
ただ、治安状況が改善傾向にある点も特記しておかなければならない。殺人事件の件数は、2004年には2万件以上あったものの、10年足らずの間に半数近くまで減少している。これは2002年のアルバロ・ウリベ大統領の就任を機に政府が多くの資金と人材を投入して治安の改善に乗り出したためで、特に首都ボゴタやカルタヘナといった観光地では大きな成果を上げている。