プールに落とす意味
日本代表の入ったC組は、ほかにコートジボワール、ギリシャ、コロンビア。この組み合わせを服部はどう見る。
「悪くはない。かといって、いいグループに入ったと言えるか。そういう感想ですね。この組はコロンビア以外似たようなことを考えているのでは。やってみないとわからない。全体を見て、突破するとしたらこのあたりのグループか、という見方もできる」
カギを握るのは、やはり初戦のコートジボワール戦か。
「ほんと初戦。当たり前すぎて、言うのも恥ずかしい! でもやっぱり重要なのは初戦なんだよ。結果によって、2戦目以降の戦い方が変わる」
服部が知る日本代表で、チームがぐっとまとまる契機はどのような出来事だったのか。最後にそんな質問をした。
「うーん、日韓大会のアレかな。直前合宿の最後にバーベキューをやったんです。宿舎のプールサイドで」
昔、映像で見た記憶がある。岩井俊二監督の『六月の勝利の歌を忘れない日本代表、真実の30日間ドキュメント』のワンシーンだ。
「そこで、中田ヒデをプールに落とした。その瞬間、チームが完全にまとまった(笑)」
それだ! 今回も誰か落としましょう。誰がいいだろう。
「そこは本田選手でいいんじゃないですか?」
異議ナシ。周囲から一目置かれている選手でなければ効果が期待できない。
さりげなく両腕に時計をはめさせて、しれっとスマホをポケットに突っ込む。本田は不穏な気配を感じるだろうが、日本代表のエースはその程度のことでは動じない。
そこで、背後からこっそり忍び寄った長友佑都が羽交い締めだ。
「なんだよ、待てよバカと叫びながら」
ドボーンッだよ!
これでチームが結束しなければ諦めもつくってもんだ。それより日本代表が拠点を置くイトゥのホテルにちゃんとプールはあるのか。
落ちろ、本田。未来のために。
【了】
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