真価が問われる柿谷
「自分のことを優先する人間が増えてきたら、チームは崩れるんです。人のために積極的にできてきたことができなくなる。自分のことは棚に上げて、失点につながるミスをした選手を簡単に責める。『俺がもうちょっと早くカバーに入ればよかった。ごめんな』と言えれば、失点の意味合い、重さがまったく違ってくる」
服部はドイツで惨敗する日本代表をテレビで見て、ほぼ想像通りのチーム状態だったことをのちに知った。
「笑ってはいるけど、笑顔が笑顔じゃない。いったん、ああなったら流れを止められないんですよ」
ブラジル大会、日本代表の前線の軸として有力視されるのは柿谷曜一朗だ。
一方、守備面はどうか。服部はディフェンダーの視点から、最終ラインとGKの関係性をこう語った。
「GKへの信頼感が高いと、ディフェンダーは落ち着いて守備の対処ができる。GKによって、シュートを打たれたときの気持ちは全然違います。背後に懸念がなければ『やられた』ではなく、『よし頼んだ』と振り返る余裕がある。そういう信頼関係を築けていれば、守りやすい場面はたくさん出てくる。
単発の試合なら、能力の高い選手を好きに選べばそれで充分。代表クラスの選手なら、誰をチョイスしても大差ないと思う。ただ、W杯は事前準備から1ヶ月も生活をともにする。そこではさまざまなストレスがかかるのは避けられない。監督は、それをパワーに転換できるようなメンバーの組み合わせを考えるだろうね」
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