左SBにベインズ、ショウの台頭。容易に下せたコール落選の決断
元代表エースで御意見番のガリー・リネカーは、「攻撃タレント満載だが中盤の守備力不足」とツイートした。だが、これも元来は堅守志向のホジソンが攻撃を優先したのではなく、純粋な守備的MFがいないだけのことだ。
最も守備的MFに近いのは、予備登録組のマイケル・キャリック。予選開始当初の昨季は、マンチェスター・ユナイテッド優勝の影の功労者となった国産随一のポゼッション巧者が、ロストボール癖のある代表の中盤に欠かせないと思われた。
だが、今季は7位に終わったチームと同様に精彩を欠いた。中盤の1枠を斜陽の32歳ではなく、守備的ではないが、エバートンが輩出した20歳の大器ロス・バークリーに与えるのは当然だろう。
物議を醸した左SBに関しても、世間が想像するほど指揮官は悩まなかったのではないだろうか? 29歳でピーク年齢のレイトン・ベインズは、代表スタメンに相応しい実力者だ。巷でも、予選の段階からコールの影を抜け出す時が訪れたと言われていた。
そのコールはピークを過ぎた33歳。今季のチェルシーでは、リーグ戦で17試合出場に留まった。監督のジョゼ・モウリーニョは、ポジションを奪ったセサル・アスピリクエタを絶賛した。これは、コールの衰えからメディアの意識を逸らす効果も狙った、ベテランに対する恩情の表れと理解できなくもない。
加えて、攻め上がる頻度はブラニスラフ・イバノビッチが務める右SBの方が高かった今季のチェルシーとは違い、新たに攻撃姿勢を打ち出さなければならない代表では、両SBに果敢な攻撃参加が求められる。
この観点からも、エバートンでの過去2シーズンで合計14ゴール10アシストのベインズが第一人者となるべきだ。おまけにベインズは故障歴が少ない。
つまり、大会期間中にリタイアを余儀なくされる危険性が低いのだから、出番が限られるはずの控えには、弱冠18歳で今季のサウサンプトンでレギュラーを張ったが、代表ではベンチスタートでも自身納得のショウが妥当だ。