メンバーが固まっているため安定はしている日本
過去4大会と比べて最高の状態かもしれない。それがベスト16やベスト8を保証するものではないが、とりあえず何が出来て、何が課題なのか、かなりはっきりしているのではないだろうか。日本代表はそれだけ完成度が高い。
日本の長所は敵陣でのプレーだ。ハーフウェイラインから相手のエンドでプレーしているかぎりにおいては、イタリア、メキシコ、オランダ、ベルギーに対しても良いプレーができていた。パスもつなげるし崩せるし点もとれた。
奪われても素早くプレッシャーをかけて奪い返したり、ロングボールを蹴らせてカットしたりすることもできた。ときおりカウンターアタックを食らう場面もあったが、ある程度は仕方がない。
一方、自陣でのプレーぶりはかなり心許ない。守備ブロックを作っていても、なかなか奪い返せない。そうこうしているうちに必ずミスが出て失点する。
つまり、日本は攻撃型のチームであり、ハーフウェイラインから向こうでプレーしているときに特徴が出る。
アルベルト・ザッケローニ監督は、協会の注文どおりのチームを作ったと思う。南アフリカでの日本は、強固な守備でベスト8目前まで行ったものの、最後までどうやって点をとるのかよくわからないチームでもあった。あれに攻撃力を加えられれば…と考えるのは無理もない。
リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドのようなアタッカーがいるのなら、そんなに難しい注文ではない。彼らがプレーしやすいように編成を整理すればいい。しかし、日本にそのようなストライカーがいない以上、攻撃力アップは違うやり方になる。ザッケローニ監督はチャンスメークに関して、いくつかのアイデアを植え付けた。
パターンといってもいい。それがすべてではないが軸にはなる。連係勝負なので、そのぶんメンバーは変えにくい。本田圭佑、香川真司、岡崎慎司、遠藤保仁、長友佑都は不動のレギュラーとなり、爆発的な進化はないかわりにパフォーマンスはおよそ安定している。