良い結果がついてくる。ザックは断言していた
ここまで振り返ったが、重要なのは通訳者の揚げ足をとることではない。宮崎氏も、「あれだけの緊張感のある場で素早く翻訳しなければならないのは、非常に難しい。私は時間をかけて翻訳したので指摘できただけのこと」と擁護する。
その上で、「ザッケローニ監督は非常に強気な発言を繰り返していました。驚いたほどです」と加える。会見を日本語を通して聞いた私はそのようには感じなかった。もしかしたら通訳者が何らかの意図があり、あるいは協会からの指示により配慮をしたのかもしれない。次からさらに細かく見ていく。
【会見での発言については、スポーツナビから引用した】
「良いパフォーマンスをすれば、良い結果がついてくると思っている」。ここは、「思う」とは言っていない。断言している。
「成功と失敗のラインはどこか?」という質問には「私自身は違った考え方を持っていて」と回答したことになっているが、ここでザッケローニ監督は怒っていたという。わざと謙譲語を用いていた(日本語でもそうだが、わざとらしい丁寧語やへりくだった表現は何か意図がある時に用いるのが普通だ)。指揮官の頭には失敗はなく、ネガティブなことは一切考えていないのだろう。
「ここ半年で3日間しか集まれていないので、まずは全員でこのチームのやり方をおさらいしたいと思う」。このあとの言葉が抜けている。「それを踏まえて(戦術などの)考察を始めたい。しかし、我々が何をすべきか、ということに重きをおいて進んでいきたい」。
ここは「良いパフォーマンスを~」につながる。あくまで自分たちのサッカーをすることを優先し、それができれば結果が出るということを強調している。
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