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日本代表 11年前

実は超強気、挑発すらしていたザック。日本語訳で隠れてしまったイタリア人指揮官の“真意”

text by 植田路生 photo by Getty Images

どうしても入れたかった若手がいた可能性も

“青山か細貝か”――。これはその後の質問でも引きずってしまう。「ボランチの選考で悩んだということだが、細貝を外して、青山を入れた決断の理由は?」という質問が出た。

 この回答としては、「その決断は難しく、先ほども言ったが、ボランチを4枚か5枚かで悩んだ」となっているが、実際の言葉としては、「いや青山のポジションが問題ではなかった」と冒頭に言っている。つまり質問を真っ向から否定したことになる。

 悩んだのは本当に「ボランチ」なのだろうか。各ポジション、役割ごとに細かく呼び名がある戦術大国イタリアの指揮官が、「ボランチ」を意味するのに広い意味を持つ「Centro-campista(チェントロカンピスタ)」という表現をするだろうか。

 選手選考に関してはこんなことを言っている。「フレッシュな若い選手も入れられなかったことも残念だった」。ここは訳し方の違いかもしれないが、「何人かの若い選手が非常に私を悩ませた」と語っていた。そして一瞬言葉を詰まらせたあと、「その彼を入れることができなかった」と続く。

 気づいただろうか。“何人かの”という複数形が“その彼”と単数形になっている。ザッケローニ監督は意中の若手一人がいた可能性が高い。“その彼”と言ってしまったのは、思わず口を滑らせてしまったのではないか(南野か、原口か、宮市か…定かではない)。

 ついでに言えば、「ブラッターにお願いしたがだめだった」とあるが、これは「電話に出なかった」となる。電話して返答があったわけではない。これは完全なジョークで、ザッケローニ監督は電話などしていないだろう(会場でも笑いが起きたことから気づいているメディア関係者も多かったはずだ)。

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