ザックが4年間求めた“本田の代役”

　ここまで4年間、ザッケローニ監督は“本田の代役”を探してきたが、明確な回答は得られなかった。そしてボランチと兼任で期待された中村憲剛も結局は選ばれなかった。もちろん香川もトップ下のオプションとして計算され、ザックジャパンではほとんど起用されていないが、清武もこのポジションで起用される素養はある。

　しかし、ザッケローニ監督はトップ下でインテンシティを高め、サイドを起点に崩すスタイルを継続しており、香川に関しては左の崩しをメインとして、後半途中に相手の中央のインテンシティが落ちてきたところで、中央に入れてそこから崩すという役割が一貫している。有力候補として高萩洋次郎もいるが、トップ下の控えにスペシャリストを入れてしまうと、23人枠が飽和してしまう。

　そこで求められるのが他のポジションを兼ねるトップ下の選手だ。大柄ではないものの体が強く、密集地帯でもボールをキープできる大久保は、本田とタイプが違うものの、ザッケローニ監督がトップ下に求める資質をハイレベルに備えている。

　皮肉な話だが、トップ下でも計算できる大久保を組み込んだからこそ、4人目のボランチに中村憲剛のようなマルチロールではなく、スペシャリストの青山敏弘を加えることができたとも言えるのだ。