若手の逸材、なぜ育つ?
――あなたは、香川、清武、柿谷、山口らをいずれも10代でデビューさせ、飛躍的に成長させた名伯楽として知られています。どうしてセレッソから、そしてあなたの元から、これだけの逸材が出てきたのでしょう?
「彼らを直接育てたのは、私ではない。彼らを子どもの頃から指導してきた人たちだ。そして、セレッソの下部組織は練習施設とスタッフが充実しており、基本技術を徹底的に叩き込む。もちろん、本人の努力もある。これらが複合的に組み合わさり、才能が開花したのだろう。でも、彼らはまだまだ伸びるし、またそうでなくては困る」
――彼らが成長する過程で、あなたが果たした役割は?
「練習で彼らのプレーを見たら、才能があるのはすぐにわかった。私は、自分の長年の経験からアドバイスを送り、ピッチへ送り出した。それだけのことだ」
――でも、近年、これだけ若手の逸材が次々と出てくるクラブは他にありません。
「私は、若い選手を起用するのに躊躇がないからね。日本には、年長者を尊ぶ文化がある。それは素晴らしいことなのだが、スポーツでは時としてそれが邪魔になる。日本人監督の中には年上の選手を重用する人がいるようだが、私は選手の年齢にはまったくこだわらない。15歳であろうと40歳であろうと、能力があればピッチへ送り込む」
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