試合前に行う息子たちとの電話
――練習、テクニカルエリア、記者会見以外の“チョロ(シメオネの愛称)”がどういう人物かは、あまり知られていません。例えば、試合の30分前は何をしているのでしょうか?
「選手たちがウォーミングアップを始めたとき、1人でロッカールームに残って息子たちと話をする。最も大切に思っている人たちと会話を交わすことで、これから立ち向かう挑戦や、背負っている責任から少し距離を置くんだ。この世で最も美しい、フットボールの試合に落ち着きをもって臨むためにね」
――3人のお子さんとの会話の内容を、少しだけ教えてもらえますか?
「ロッカールームでは、できるだけ3人全員と話をしようと試みる。学校で何をしたとかね……。会話の内容は、普通の父親が息子と話すことと何ら変わらないよ。
そのやり取りを聞く人がいるとしたら、私が20分後に試合に臨むとは信じられないだろう。しかし、私は冷静を保つためにそうしている。愛する人たちが、元気に過ごしていることを確かめることでね。その会話によって、自分がこれから立ち向かうこと、フットボールだけにピントを合わせることができる」
――張り詰めた気持ちを緩めることが、試合に臨むための最善の方法ですか…。
「私にとっては最も適した方法だね。アトレティコ・マドリーで素晴らしい日々を送っているが、家族と離れて暮らすことはやはり難しい。だからこそ、愛する人たちが元気で暮らしていることを、最高のニュースとして受け止めたいんだ。
それに息子たちはフットボールを愛しており、誰を起用し、誰をベンチに置くのかといったことを聞いてくる。ラウール(・ガルシア)、(ジエゴ・)コスタ、(ダビド・)ビジャ、コケといった選手たちがプレーするのか、簡単な試合、それとも困難な一戦になるのかなどね。プレーする上で気をつけなければならないことなど、忠告も受けるよ(笑)」