Jクラブにとって「アンダーマネー」はダーティー
――移籍金の生じる国内移籍が少ない一番の理由は資金不足ですか?
「移籍金を払ってでも獲りたいと思う選手がいないわけではないですが、今はフリーの選手がたくさんいるので、情報だけ持っていれば移籍金をかけなくてもいいわけです。
1人の選手を獲って2、3年プレーしてくれたら良いというのが基本だと思います。選手に関しては3年契約くらいか、そうでないと単年になりますが、3年契約でも1年終わった段階で巻き直すというのはやっています。
そういう時代だからこそ、昔と違うのが(契約期間内に移籍する場合の契約解除に伴う)違約金設定で、海外向け、国内向けというかたちで、それぞれ契約に付けるようになっています。
あとは、出場率に合わせて移籍ができるという契約もあります。(契約時に設定した)出場率に達しなかったら、あるいは2部落ちしたら移籍することを容認して欲しいなど、細かい条件を付けるエージェントが私も含めて増えています」
――例えば、欧州では移籍金のかからないフリー移籍の場合、選手の年俸にサインボーナスのような上乗せをするクラブもありますが、日本ではありますか?
「そういうことはないですね。基本的にはそういう考え方を受け入れないし、それこそ欧州や南米のようなアンダーマネー(裏金)はないですから。
別にそれを推進するわけではないですが、そうした上乗せなどがないと、選手の獲得を目指すクラブが他クラブと差を付けにくくなります。移籍の決め手になるのは、本当にそのチームが好きかどうか、移籍するチームのポジションが空いているかどうかくらいです」
――やはり、Jクラブにとってアンダーマネーはダーティー過ぎますか?
「そう思います。外国人は顕著ですが、ブラジル人はフリーと言っていても実際にはそこに肖像権を発生させたり、エコノミック・ライツ(経済権:選手の移籍に際して発生する移籍金を獲得する権利)を発生させたり、色々な手を打ってきます。
日本が綺麗過ぎると言いますか、『そういうことをやる選手は要らない』と言われてしまえばそれまでになってしまいますから」