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アジア 10年前

小野伸二、豪州ラストゲームは悔しい敗戦。現地に浸透した「Shinji Ono」、築いた確かな功績

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu , Nichigo Press

スタンドには多くの日本人も。地元「ロア」と「小野伸二」の間での複雑な心境

 ロアの劇的な勝利に大いに沸いたこの日の観客席には、かなり多くの日本人の姿が見られた。

 あるブリスベン在住の日本人のサッカーファンは、試合前に今回の複雑な心境を「自分の街のクラブ(ロア)をもちろん応援するんだけど、やっぱり日本人としては小野(伸二)にも頑張って欲しい。

 うーん、悩みますけど、やっぱり自分の好きなクラブを応援しなきゃいけませんよね」と、自分に言い聞かせるように語ってくれた。

 試合後に他の日本人のひとりが「小野選手が交代した瞬間から、ロア応援に切り替えた」と屈託なく語ってくれたように、訪れた日本人の観衆の多くは地元の「ロア」と母国の「小野伸二」の間での複雑な心境での観戦だったようだ。

 印象的だったのは、メインスタンドの一角に掲げられた一幅の横断幕。スタンドがロアのオレンジ、WSWの赤黒で染まった中で異彩を放った赤青のその横断幕には「がんばれ、ブリスベン。FC東京サポーターより」という文字。

 FC東京とロアが一昨年のACLで対戦した折、百人規模でブリスベンを訪れたFC東京サポーターの応援がロア・サポーターの心をとらえた。そこで両クラブのサポーター間に交歓が発生したのは聞いていたが、さらに継続的なサポーター間の交流があるとは知らなかった。

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