ザックジャパンは香川で勝ち、本田で負けない
「最初にやらなければならないことは、日本代表チームを日本化させること。日本代表が本来持っているクオリティー、力を引き出すことが必要です。そのために初心に帰り、日本らしいサッカーをしようということです」
ピンときた人もいるかもしれない。これは2006年7月、イビチャ・オシムが日本代表監督に就任したとき、記者会見で語ったことだ。
今さら、しかもザックを差し置いて8年前のコメントを引用したのは、やはり今のザックジャパンの出発点が、“日本代表の日本化”という、『オシムのバトン』を引き継いだことにあると思うからだ。
世界中から選手を買い集められるクラブチームならともかく、日本代表は、日本人選手のみでチームを構成するという制約がある。となれば、日本人の良さを生かしたスタイルを築くのは、唯一にして最大のコンセプトだ。理にかなっている。
日本の成人男性の平均身長は171センチだ。平均180センチを超えるドイツ人やオランダ人とは、10センチもの差がある。ゴール前でパワーや高さの勝負になれば、日本は分が悪いが、わざわざ相手の得意なフィールドで勝負することはない。
パワーや高さでは劣っても、日本人は俊敏性や持久力に優れ、細かいテクニックもある。さらに協調性を持ち、戦術を理解して実行する能力が高い。強い相手に立ち向かう勇気もあり、何よりも、試合を最後まであきらめない。それが日本人だ。
そんな日本人の良さを生かしたサッカーとは何か? どんなサッカーだろう? 具体的にイメージできるだろうか?