J・ワグネル退団で制御不能に。最大の功労者の悲しい別れ
そしてJ・ワグネル。彼はブラジルではビッグクラブを渡り歩き、そのいずれのクラブでも優勝を経験したスーパースターだ。
ブラジル国内ではL・ドミンゲスよりもJ・ワグネルの方が“名手”として名が通っており、事実2011年のFIFAクラブワールドカップでは、来日したブラジルメディアが囲むのは、L・ドミンゲスではなくJ・ワグネルの方だった。
しかも人柄も良く、ピッチを離れればこれ以上ないというほどの人格者。いくら“柏のキング”と呼ばれるL・ドミンゲスとはいえ、J・ワグネルには尊敬に近い気持ちがあったではないだろうか。
北嶋とJ・ワグネルが同時にピッチに立ち、彼らが言葉を掛けることによって、L・ドミンゲスの激高を完全に鎮められないまでも、ある程度の抑止力になっていた。
それが2012年途中に北嶋が、そして昨年限りでJ・ワグネルが柏を去ると、ピッチ上で苛立ちを募らせるL・ドミンゲスをどう制御するかということになってくる。
今年2月のプレシーズンマッチと4月のナビスコカップと、以前はここまでの短期間に2度も一発退場になったことはなかったのだが、昨年限りでJ・ワグネルが退団し、抑止できる選手が不在になった影響が大きく出てしまったと言わざるを得ない。
結局はその2度の退場処分が、ネルシーニョ監督との関係をこじらせ、「規律を乱した」として見切られる原因になってしまうのである。
L・ドミンゲスが練習不参加を続けていた時から退団は覚悟していた。ただ、柏に初のリーグタイトルをもたらした最大の功労者であることは疑いようもない事実。
本来ならば昨年のJ・ワグネルのように感謝の念を持って盛大に彼を送り出したいところである。こういう形で彼がクラブを退団しなければならないのは、非常に残念でならない。
【了】