“自前”でユニフォームを用意。身の丈にあった健全経営
そんなクラブの経営トップにいるのは、2年前に筆頭株主となったマッシミリアーノ・サントパードレ会長。ガウッチが去った後、誰もが火中の栗を拾うのを諦めた中にあって、アパレル事業を本業とする45歳の青年実業家は、明確なビジョンをもってクラブの刷新に成功していた。
「このクラブは二度倒産していたし、自分にとっても簡単な決断ではなかった。でも、やはりカルチョで成功したいという情熱が勝って、ここまでの成功につながったと思っている。私が目指すのは、単にカンピオナートの勝利だけではない。トータルな意味でクラブをプロとして成長させていきたいと考えている」
無理な投資で成功を急いだり、無駄金を叩いたりはしない。テクニカルスポンサーは募らず、自身の展開する若者向けブランド「フランキーガレージ」にスポーツ部門を新設し、いわば“自前”で用具を用意する。
その一方で、使うべきところでは金を使う。選手のレンタルは下部カテゴリーにとって結構な負担となるが、そこはケチらなかった。「僕を獲得するとき、かなり経済的な犠牲を払ってくれたみたいなんだ」とエウゼーピは語る。
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