「数年前のミランであれば『ノー』」
――つまり、この本田という選手はそもそもミランの一員たるに値しないと?
「さっき言った通り、数年前のミランであれば『ノー』。メンバーに名を連ねることはできなかった。だが今のこのミランであれば『イエス』。今のこのミランであれば本田はしかるべきポジション(地位)を確保できるのだろう。
ただし、そのためには当然のことながら周りのサポートを欠くわけにはいかない。我々の国のサッカーにみる戦術の傾向は他とは明らかに異なる。仮にそれを文化と言うのであれば、やはり彼もまた他の多くの外国人選手と同じように、その特殊とされる文化をまずは受け入れることが肝要なのだろう。
その上で、彼がイタリアのサッカーに慣れていく中で、徐々に信頼を勝ち得ていくことができれば本人が望む場所(ポジション)でプレーすることが可能になるのではないか。
“今日的な”、つまり“モダンな”トレクアルティスタとしての特性、または純然たるFWとしての才能を彼が備えているとは思わない。“ウイング”については言うまでもない。
とにかく、今の彼に最も大切なのは時間だ。焦る必要はない。サン・シーロのブーイングに萎縮する必要も一切ない。あくまでも今季は準備期間と捉えればいい。ロシアから休みなしでイタリアに来た。脚への疲労は相当溜まっているように見える。
W杯後は休んで十分にコンディションを整える。そして来季、最もその才能をムリなく発揮できる場所を与えてくれる監督の下でプレーし、一つひとつの試合に全力を尽くすことで本田は評価を確実に上げてみせるだろう」