本田へのブーイング。気にする必要はない
――2014年1月、ミランは監督が代わっただけでなく、その少し前には本田という新しい選手も加入。ミランのクラブ史上初の日本人選手にして「10番」を背負った。この彼についてどんなイメージを持っていたのか? また、ここイタリアでの7、8試合を経た今にしてどういう印象を持っているのだろうか。途中交代でベンチに下がる際に激しいブーイングを浴びたこともあったが。
「確かに1月には色々なことが変化した。ただ、その1月のメルカートで加入した選手たち、エッシェン、ラミ、ターラブ、そして本田、彼ら4人が素晴らしい実力者であることに疑いの余地は一切ない。ミランとイタリアのサッカーに慣れるにはもちろん少しばかりの時間が必要になるとしても、彼らならばきっと大きな貢献を果たしてくれると信じている。
その上で、本田について僕から言えるのは、ここイタリアで成功するために必要な実力も経験も彼には十二分に備わっているということ。まったく異なる環境に適応するのは確かに容易ではないし、何度も言うようだけど“一定の時間”が必要なのもまた事実なんだろうけど、あれだけ真摯にサッカーに取り組む姿を目の当たりにしている僕としてはやはり、彼の成功を確信できない理由がないと、そう明言できる。
何よりも重要なのは、彼が1年以上も休みなく今に至っているという事実。ここを正しく考慮する必要がある。なので、万全の体調で臨める来季の彼を僕は待ちたいと思うんだ。他とは違う、このイタリアという国のサッカー特有の戦術とそのディティールを今季これからの試合で理解するはずの彼は、きっと今とは格段に質の異なるプレーを見せてくれると思う。彼が周囲を理解するのに比例して周囲もまた彼への理解を深めていくのだからね。
だからこそ今この時期に受けるブーイングなんかは気にする必要はない。むしろそれって当たり前のことなんだから。この僕だって、それこそあのセードルフだって何度も何度も同じ目に遭ってきたし……(笑)。本当に優れた選手というのはその厳しいファンの声をエネルギーに変えることができるんだよね。
とにかく、例のボローニャ戦にしてもあの激しいブーイングは他ならぬ本田への期待の大きさの証なんだよ。その意味もまた明晰な彼は理解しているはず。だから、僕は少しも心配なんてしていないんだよね」