日韓W杯。反アベランジェ派が消極的に韓国を支持
これは今回のW杯の“特殊性”の一つの現れであり、日本にも少々関わりがある。かつて2002年W杯開催を巡って、日本と韓国は激しい招致合戦を繰り広げた。
この招致合戦は、当時のFIFA会長だったブラジル人、ジョアン・アベランジェに対する反感と結びついた。アベランジェは日本開催を支持しており、日本の招致委員会の意向とは別に、欧州の国々は反アベランジェでまとまり、消極的ではあるが韓国を支持した。
冷静に判断すれば日本の開催提案の方が圧倒的に優れている。しかし、アベランジェが応援する日本には勝たせたくない――その折衷案が日韓共催という結論だった(この辺りの詳細については拙著『W杯に群がる男たち』を読んで欲しい)。
2002年W杯共催決定の後、W杯の各大陸連盟の持ち回りが提案された。これまでと同様に開催地を決めていけば、アフリカ大陸の国々は勝ち目がない。アフリカサッカー連盟に対する優遇措置だった。
さらに、アベランジェを支持するか、しないかで割れたFIFAを修復するという意図もあった。
そして、2006年は欧州サッカー連盟、2010年はアフリカサッカー連盟、2014年は北、中、南米サッカー連盟の加盟国でW杯が行われることになった。
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