SBの役割に特徴。バルセロナ時代とは異なるオーガナイズ
ペップ・バイエルンにおける最重要プレーヤー。それは言うまでもなく、今季、右サイドバック(SB)からアンカーにコンバートされたフィリップ・ラームだろう。ペップが「過去に指揮した選手の中で最も頭が良い」と語るバイエルンのキャプテンは、昨年、新監督就任のニュースを知らされたとき、次のようにメディアに語っている。
「おそらく僕たちはバルセロナのスタイルを真似することはできない。幼い頃からずっと同じスタイルを貫いてきた彼らと同じようにプレーするのは不可能に近いからだ。ペップには、バルセロナとバイエルンの両方の長所を融合させながらチームを作ってほしい」
先見の明と言うべきか、現在のバイエルンは、まさにラームの言葉に沿った道を歩んでいる。すなわち、常にボールに触りながらプレーを楽しむというバルセロナの哲学が浸透しつつも、細部に目を移せば、バルセロナ時代とは異なるオーガナイズがハッキリと見られるのだ。
最も特徴的な変化が訪れたのは、SBの仕事だろう。ウイングのリベリーやアリエン・ロッベン、トーマス・ミュラーらがタッチライン際にスタートポジションを取ったとき、SBのラフィーニャとダビド・アラバは、彼らウイングの真後ろではなく、斜め後ろ、つまり中央寄りにポジションを取る。ボランチやインサイドハーフに近いポジショニングだ。
常にポゼッションを握る(ボールに触り続ける)という哲学を実践するために、焦点となるのは、“いかに中盤に人を足し、数的優位を作るか”だ。
バルセロナでは両ウイングが高い位置を取り、相手ディフェンスラインに睨みを利かせて釘付けにした状態で、センターFWのメッシが最前線から下がり、メッシを中盤に足して数的優位を作るメカニズムを組み上げた。